囚われの高耶さん。直江感を増していく開崎さん。安定してかっこよい千秋さん。再読だと「彼ら、若き日」みたいな気分がそこはかとなく漂う清正やてっちゃん…。
というわけで、火輪の王国(中編)レビューです。
表紙
高耶&開崎。
なぜ百合。けど、これ平常心でレジに持ってける表紙だなぁーー持って行きにくいやつちょくちょくありますもんね。
あらすじ
頼竜(らいりゅう)の放った念に、高耶(たかや)はもろくも倒れた。鉄のかたまりのような念が、高耶の体を直撃したのだ。清正に抱かれた高耶は、ぼんやりと暗い視界に、空から無翼天使たちが降りてくるのを見た。天使たちは高耶を病院へ運ぶ。急を聞いた綾子は、病院へと駆けつけた。そこで信じられない言葉を聞いた。「彼は死んだ」しかも、遺体はすでに身内の人間が、運び出したというのだ…。
印象に残ったシーン
P54 開崎⇒綾子さん
「そんなに取り乱したら霊査もできないだろう!あのひとは死んでいない、意識がないだけだ、きっと生きている!」
「思念波で呼び続けろ、生きているなら必ず答えが返ってくるはずだ。微弱な返事でもキャッチできるよう神経を研ぎ澄ませ。おまえなら掴めるはずだ」
景虎様もだけど、直江も綾子さんに向かうときって頼もしいというか、かっこいいですよね(長秀は誰に対してもそれほど変わらない)。夜叉衆の紅一点、ねーさん。
直江の「あのひと」「あなた」っていう言葉なんだかすごく好きです。
P236 高耶―清正
「やはりそんな体で逃げるのは無茶だ!わしがおぶっていってやる!」
「触るな!」
一喝されえ、ビクリと清正は手をひっこめた。高耶やまさに手負いの獣だ。
「触るんじゃねぇ!触れれば殺す!」
ああ獣モードの高耶さん・・・。疑心暗鬼に陥り、追いつめられて追いつめられてもはやこんな状態に(涙)
P267
舞い落ちてくる雪が、土に白いヴェールを敷く。
木の幹にもたれかかって、高耶は斜めにうなだれ、瞳を閉じた。
もう一度、おまえが欲しい。
駄目だろうか。
もう諦めなければ駄目だろうか。
なぜ、もっと早く言えなかったのか。
こんなことに、なるまえに……。
雪の中の景虎さま独白。ほんっとうに基本的に言葉も態度も足りないのだけど、これだから景虎さまなんだなー・・・・
感想
つかまって、重傷で、自らの自己暗示におびえて、直江の裏切りに傷ついて、高耶さんボロボロの回。思えば40巻の中で、もっとも景虎様がただ痛々しくボロボロなのはここじゃないでしょうか。生来の猜疑心も警戒心もケモノ感も炸裂してます。
直江は直江で、まだ自己愛を捨てられず、でも新しい二人の形をつかみ取ろうとぐるぐるしながらも一生懸命高耶さんを追っています。
吉川元春が父のように高耶さんに「直江死亡」を伝えるところや、 小太郎が錯乱し始めるところなど、切ないシーンも多い中編。特に小太郎は…はじめて感情を知った赤ん坊みたいなものなのに、景虎様には徹底的に否定されてるから。。。そりゃ混乱するわっていうか。なんだか、生き物として可哀想な気分になりながら読んでました(母目線)。
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